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俺はさっきから黒いスマホを握りしめ、願いを込めて通知がくるのを待っている。
先月とあるレコーディング会社に送った自作の曲の返事がくる日。
中学と高校は音楽好きの仲間とバンドを組みコピーやオリジナルを作っては文化祭や路上ライブをしていた。
そのオリジナル全ての作曲を担当していたのは俺だった。
出来た曲を仲間に披露するとリアクションがよかった。
そこには学生のノリもあったと思うが嬉しいリアクションだった。
『陽介の曲どれもカッケー!』
『おいおい、いつかプロになっちゃうとか?』
『その時は奢れよこの~!』
「バーカ、プロなんて簡単にはなれないって!俺は好きに曲が書ければ満足なんだよ」
『もっと欲持てよ、俺らマジで言ってるんだからな。陽介のめっちゃいい曲だぜ?』
「はは、サンキュ。未来もいいけど再来週にはテスト期間だぞ。
またお前らに勉強教えないといけないじゃん」
『陽介先生お願いしまーす!』
「バカみたいに夢諦められてないのは俺だな」
過去を思い出して素直な言葉が出た。
今年大学に進級したというのに俺は時間さえあれば曲を作り続けた。
理由はたった1つ。
プロになる。
音楽の世界で生きていきたい。
高校時代で終わると思った音楽への熱は成人目前の今でも冷めなかった。
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