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「ねえ、叶多くん、あの二人今頃上手くいってるかな?」
友人の恋路の行方が気になって仕事が覚束無い私は、隣に立つ私の上司でありこのカフェのオーナーでもある彼に尋ねた。
『焚き火カフェだけは二人組限定にしない?仲の良い友達やカップルが焔を囲んで更に仲良くなれるように!』
オープンするずっと前に膨らませていた構想。
それが大切な友の恋の始まりに良い結果を残して欲しいと強く願う。
「大丈夫だろ?さっき薪運ぶときにさ、今日告白するって森元さん言ってたし」
「うそっ!本当に!?何で、もっと早くに言ってくれないの?私すっごく心配してたんだから!」
「痛っ」
私の想い人でもある彼の背中を思わず強く叩いてしまった。
「ぁ……ごめんなさい」
興奮しすぎと我ながら反省。
「そりゃあ、『あの二人の行く末を静かに見守る会』の副会長としては会長よりも大きなネタを握っておきたいだろ?」
にやにやしながら彼が言う。
それに私もふふっと笑った。
春ちゃん頑張れ。
君の春はすぐそこまで来てるから。
だから、逃げちゃダメだよ?
なぁんて……人の事だから、簡単に思える。
隣に立つ彼に、私もいつか自分に自信が付いたとき逃げずに告白したいな、と想いを巡らせながら親友へのお祝いにチーズスフレにデコレーションをし始めた。
了
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