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「この立派な高燈籠が見えるところに、走ったら良いかもしれん。高燈籠を眺めながら、あの黒い鉄の車が走ったら、きっと気持ちええぞ。」
「それは、黒いの? 」
「ああ、わしが見た模型はな。でも、もっと、これから夢と未来が広がって、大きくなっていったら、青や黄、銀など、色んな色の車体が走るかもしれん。なんか、心が踊ってくるぜよ。 」
絹は膨れながらも、鮮やかな彩りが大好きな好奇心に負けてしまい、この面白いお侍はんのお話に興味深く耳を傾けていた。その彼女の表情を盗み見る私ごと、坂本はんは、楽しそうに緩やかに見つめて、錦色に照らされながら、こうなだめた。
「時代の流れは、想像出来ないほどに、移り変わっていく。そんな時にとても大事なことは、地に足つけた真の信念と、周りの変化を知って、見極める目を養うことじゃ。新しくても大事な物は取り入れていかにゃあならん。時代の変化に取り残されてはならんが、流されてだけで己を失っても、沢山のものを失う。
お互いの良いものを見出だしあって、尊敬し合って、共鳴し合って、相乗効果が出れば理想じゃが。
例えば、船問屋なら、鉄の車と連携して、collaborationして…… 」
「こら……ぼ……? 」
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