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『俺らが一緒に暮らす場所』と一途が選んだ部屋を見に行ったのはそれから少し経った日曜日。
それからは、いつを引っ越しの日にするか、業者に頼むか自分たちでやってしまうかとか話し合っている最中、
「親御さんにご挨拶したいんだけど」
そこそこ真面目な顔で一途が俺に言い、俺は飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「は?おっ、親御さん?俺の?」
「うん。ちゃんとご挨拶しておきたい」
「いやいや!いらねぇだろそんな……」
「結婚を前提にお付き合いしています」
「え………」
「僕が息子さんを幸せにします」
「え………」
「言わせてよ!ね?言いたいじゃん!一生に一度きりなんだから!ね?」
世間一般じゃ怪しまれるような仕事してるし、大事な息子さんをもらうんだからそれなりにちゃんと出来る男って思われたいし、安心させたいし、と。
まぁ、一途は一途なりに考えはあるようで、それを俺は受け入れた。
「だったら!お前んとこにも行くからな!」
「オレんとこ?」
「あぁ、そうさ。俺だって“息子さんをください”って言ってやる!」
「光さんってばやらしいんだから。“オレの息子さん”はもう光さんにあげたでしょ?」
「なっ?」
「“オレの息子さん”でアンアン鳴いちゃう人だーれだ?」
「いい加減にしろ!」
「あー、もう!光さんがそんな話するからちょっと勃っちゃったじゃん」
「お前だろ!そういう話に持ってくのは!」
「光さんの息子さんは?」
「うわ!やめろ!」
「あら、思ったよりお元気そうで」
「うるさい!」
「ねぇ、光さん?」
「っんだよ!」
「そんな抵抗、オレを煽るだけだからね?」
結局は、今度の日曜日に一途と俺の実家にまとめて挨拶しに行く手はずを整えて、
まだ良くは知らない一途の昔話でも聞けたらいいなとか、とてつもなく頑固親父だったらどうしようとか、ソワソワと落ち着かなく1週間を過ごし、
俺の実家も一途に見られるんだなと、若干の不安を抱えて行く日の朝を迎えた。
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