3話

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 エトリは突然背後から羽交い締めにされ、口元を押さえられた。物凄い力で腕を捻り上げられて、苦悶の声が漏れる。  心臓が痛いほど打ち鳴る中、背後から襲ってきたその人物の荒い息遣いが耳元にかかり、エトリは生理的な悪寒を感じて身震いした。 「し…静かにしてれば、い、痛くはしない。エトリ……エトリ……。いい匂いだ」  大柄な男だった。目深に被ったフードの奥から、くぐもった声を吐き出すように響かせ、エトリの首元をべろりと舐めてくる。  エトリはひっと鋭く息を飲み込む。あまりに大きな恐怖を感じると、人は声を出す事はおろか身動きも出来なくなるらしい。  圧倒的な力の差は明白だった。男の丸太のような腕が、エトリの細腕を後ろ手にまとめて片手で縫い止めると、自然と胸を突き出すような体勢になる。  男は空いた手で、エトリの服を引きちぎった。抵抗など一切できないまま、エトリの豊かな胸がまろび出て外気に晒される。 「ぃや……」  エトリは微かに声を上げたが、男は全く動きを止めない。興奮を高め、大胆にも胸を揉みしだき始める。  気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。  エトリは溢れる涙を拭うことも出来ないまま、いやいやともがき、男の手から逃れようとした。
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