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――帰り道は気をつけるんだぞ!
ガートの言葉が耳の奥で響く。エトリはその言葉を真摯に受け止めなかった自分に後悔したが、時は既に遅かった。
男の手はエトリの服を破り続け、エトリはほとんど何も身に纏わない状態になっていく。
このままでは、穢されてしまう。
誰かに愛される前に。
誰かを愛する前に。
エトリは涙に濡れた瞳を閉じた。その時、エトリの脳裏に浮かんで来たのはシルバーグレージュの癖毛と、優しいコバルトブルーの瞳だった。
諦めていた感情が、突然エトリの心の奥底から湧き出で、爆発した。
「……いやぁーー!!!!!」
精一杯の大声が、エトリの喉の奥から吹き出すように上がる。アラルの姿を思い浮かべ、必死にその名を呼んだ。
「アラルさん……!!! アラルさん!!」
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