228人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ直ぐな、ひたすらに真っ直ぐな告白だった。エトリは若者の熱い視線を受け止めながら、胸が激しく高鳴るのを感じた。思えば、生まれて初めての告白だった。
「あなたが良いというまで、あなたに触れません。あなたを怖がらせたり絶対しないと誓います。俺はこれからもっと強くなり、成長してあなたを必ず幸せにする。だから、俺について来てほしい」
自分よりも6歳も年下のベール。だが騎士としての精神や揺るぎない正義感、そして溢れる生命力は、若さだけではないベール自身の魅力だった。
素直に、ベールの気持ちが嬉しかった。
行き遅れの、なんの取り柄もない年増の自分を、ここまで真っ直ぐに見つめてくれる。その想いはエトリの心に染みわたり、心の奥にぽっかりと空いた穴を塞いでいく。
だが、その真っ直ぐな想いを、エトリはどうしても真っ直ぐに受け取れなかった。
「私は……」
紡がれた言葉に、ベールの双眸が見開かれる。
春の嵐に閉じ込められ、2人のかき乱された想いは行き場を失っていた。
最初のコメントを投稿しよう!