228人が本棚に入れています
本棚に追加
7話
「ベール君。君は……」
扉を開け放ち、大股でアラルに近づいたベールは、その胸ぐらを掴まんばかりの勢いでアラルに対峙した。
「あなたは……あなたは何をそんなに腑抜けているんですか!」
ほぼ同じ目線で向き合い、ベールは吐き捨てるように短く叫ぶ。アラルはその勢いに驚き、言葉を無くした。
ベールは目線を逸らし、必死に激情を殺しながら続ける。
「……昨日、エトリさんに会ってきました。俺は今回の件で、一度王都に戻り報告するよう言われているので……。一緒に王都へ行きましょうとエトリさんを誘いました。……告白したんです」
打ち明けられた内容に、アラルはただ耳を傾けるしかない。
「アラル殿。エトリさんは何と言ったか、気になりませんか?」
ベールの顔はどこか苦しそうな、告白を果たした者の様子には見えなかった。アラルはなにも返さなかったが、言外に肯定の意志を込めてベールの視線を受け止める。
最初のコメントを投稿しよう!