2話

2/3
前へ
/46ページ
次へ
 *  その日、いつも通り食堂で昼食を食べ終えたアラルは、ベールの報告を聞いて馬小屋へやって来ていた。  大きな馬小屋の片隅で、栗毛の馬を診ている馬丁に声をかける。 「お疲れ様です。調子が悪いというのは、この馬ですか?」 「おお、騎士殿。そうでさぁ、この馬の走りが悪いもんで、獣医に診てもらったら、どうやら蹄に怪我をしているようで」  アラルは栗毛の馬の鼻先を撫でながら、足元を伺った。 「前蹄のようですね。挫跖(ざせき)ですか」 「ええ、ええ、獣医はそう仰ってました」  どうやら走行中に石を踏んでしまったか何かで、蹄底が炎症を起こしてしまっているらしい。この辺りは岩が剥き出しの道路が多いため、馬の蹄の怪我が多いのは悩みの種だった。 「騎馬部隊の訓練場所も、少し考え直さねばなりませんかね」  そう言って思案しながら馬小屋を後にしたアラルは、ベールと相談するために砦の詰所へと足を向ける。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加