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ある日、元気だった人が突然死ぬことはあることぐらいは知っている。
ただ、なぜ死んだのか。
未だに私はその本当の理由を聞いていなかった。
病気やノイローゼがあったかどうかは、毎日接していても全く気付かなかった。
お父さんに聞いても、首を横に振るだけで何も説明してくれないまま、もう半年以上が経っている。
そうよ。
お母さんの死の真相を知らずして、死んでたまるか。
急に現実に返ってやる気が漲ってきた。
お母さんの死の真相は、何を差し置いても聞かなければならない重要事項なのだと思った。
その決意が、明確な希望として私を奮い立たせてくれる一番の動機になった瞬間だった。
わずかな傾斜だが坂道を上っていることに気付く。
小さな丘になっているポイントがあることを思い出した。
ここまで来たのなら、例の分岐地点までは残り500メートルほどだろうか。
急に気が昂ぶってきた。
丘を越えると今度は下り坂になった。
おぼつかない足取りの私は、よろけながら傾斜を下り始めたのだが、心配している矢先に足を捻じり、慌てて踏みとどまろうとして最終的にしりもちをつく格好でまだ転んでしまった。
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