長い夜が始まる

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気が緩んだせいだ。 ため息を点いて、再び立ち上がろうとしたが体の感覚がおかしい。 遣り切れない気持ちになりながらも、立ち上がろうと体中に力を漲らせてみるものの、なかなかうまく行かない。 「どうなってるの」とうめき声を発した。 辺りには当然、誰もいない。 孤独は、こんな瞬間に身に迫ってくるものだな、と噛みしめた。 取りあえず呼吸を整えながら、私は自分の両手を見てみた。しっかりと大地を掴んでいる。指先に意識を注ぐと、ちゃんと動いていた。手のひらで土を掴むが、わなわなと震えて力が入って行かないのだ。失血のせいかもしれない、と思った。 で、だから? ここであきらめるわけにはいかないのよ。 なんとかして動かなくちゃ。 私は両目を瞑り、深呼吸をしながら全身の感覚に集中した。 傷が痛い。 寒気がしている。 動悸を感じる。 ヒューヒューと喘息のような音が肺から漏れているようだ。 それでも、呼吸は問題なく出来ている。ただ、眩暈がしていた。ぐるぐると地上が揺れながら回っているような、不快な感覚だ。足の裏に意識を持っていき、大地を踏みしめてみた。そのまま脚全体に体重を乗せて、ゆっくりとお尻を持ち上げるように立ち上がってみた。 よし、うまく行った。
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