長い夜が始まる

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私は自分の服で血を拭い、再びドアノブに手をかけたものの、どんなに力を込めても震えながら滑ってしまい、しかもこんなに重かったかと驚くほどの頑丈さに舌を巻いた。 とうとう、びくともしない扉の前に力尽き、その場にへたり込んでしまった。 ドアを叩いて様子を見ても、誰の気配もない。 父は今留守のはずだ。 家の中に居るのは、多分弟のケビンだけだろう。 私はまたゆっくりと立ち上がって、ケビンの部屋の窓の辺りまで壁伝いに歩いた。 半分閉められたカーテンと、テーブルランプの明りがぼんやりと光っている。 窓からは時計も見えた。午後22時過ぎだ。 私は重い腕を持ち上げて窓をコンコンとノックした。 でも、ケビンはベッドに身を預けたまま動かない。すっかり寝入っているようだ。 いつも開けっ放しのはずの裏口のドアにも行ってみよう。 私はゆっくりとふらつきながら壁伝いに家の周囲を移動して行った。 裏口は閉まっていた。 私は途方に暮れた。 ふと視界の隅っこに暗がりではあるが納屋が見えた。 懐かしい。 あの納屋は昔、父に叱られて家に入れて貰えなかったときに、怯えながらも逃げ込んで一晩明かした場所だった。 吸い込まれるように、私はそのドアを開けて中に入った。
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