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石をできるだけ踏まないように、私はできる限り急ぎ足で牧草地帯を突き進んだ。
着の身着のままの格好だけで飛び出してから半日が経っていたが、
こんな日に限って頼りになる人は遠出している。
なんて最悪な日だろう。
あんなに罵ったばかりで、もうあの人を頼ろうとしている自分に呆れてしまう。
意地を張って留守番することに決めたときは、まさかこんなことになろうとは想像すらしなかった。
私はただ、どこにも居場所がないことに腹を立てていた。
何を言っても聞き入れて貰えず、何を言われても全く耳に入って来ない。同じ空気を吸っていると考えるだけで吐きそうになるほど、私はあの人のことが許せなかったんだ。
孤独の檻に自らひきこもったわけではなく、
そこに追い打ちをかけられ閉じ込められたような気がしていた。
自分は悪くない。
誰も、たぶん悪者なんてものは最初からいないのだろうけれど、
そうと思いながらも、私はひたすら憎らしかった。
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