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―――あなたのことが好きだとか。
私のことを好きになって欲しいとか、そんな馬鹿なことを。
感情に飲まれてしまいそうな自分を必死に堪えて、余裕ありげに微笑んで見せる。
私は少しでもあなたの目に魅力的に映ってる?
たとえカラダだけの関係でも、あなたに触れて触れられて、この身体にあなたを憶えていたい、憶えていて欲しい。
すぐにでも、久坂さんの熱に溺れたい私の願望なんて、たぶんとっくにこの人にはお見通しなんだろう。
聞いてきたくせに、少しも私の返事を気にすることなく、覆い被さってくる。
顔を両手に囲われ、……唇が降ってくる。
「……ん。」
私の欲望をかきたて煽るような、甘くて蕩けるようなキス。
柔らかな舌先に唇の合わせ目をなぞられ、ゾクリとする。
離れてゆこうとする唇を追いかけ、私の方が彼の背を抱きむしゃぶりついた。
「んっ………ぁっ。ふっ……はぁ……ん。」
いつもこのキスに酔わされ、惑わされる。
「イヤか?」
否定に首を横に振る。
いつもはほとんど無臭の彼から、ムッと臭う汗と、たぶん、フェロモンの濃厚な匂いに、嫌悪を感じるどころか頭がクラクラした。
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