00.プロローグ

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 ―――あなたのことが好きだとか。  私のことを好きになって欲しいとか、そんな馬鹿なことを。  感情に飲まれてしまいそうな自分を必死に堪えて、余裕ありげに微笑んで見せる。  私は少しでもあなたの目に魅力的に映ってる?  たとえカラダだけの関係でも、あなたに触れて触れられて、この身体にあなたを憶えていたい、憶えていて欲しい。  すぐにでも、久坂さんの熱に溺れたい私の願望なんて、たぶんとっくにこの人にはお見通しなんだろう。  聞いてきたくせに、少しも私の返事を気にすることなく、覆い被さってくる。  顔を両手に囲われ、……唇が降ってくる。  「……ん。」  私の欲望をかきたて煽るような、甘くて蕩けるようなキス。  柔らかな舌先に唇の合わせ目をなぞられ、ゾクリとする。  離れてゆこうとする唇を追いかけ、私の方が彼の背を抱きむしゃぶりついた。  「んっ………ぁっ。ふっ……はぁ……ん。」  いつもこのキスに酔わされ、惑わされる。  「イヤか?」  否定に首を横に振る。  いつもはほとんど無臭の彼から、ムッと臭う汗と、たぶん、フェロモンの濃厚な匂いに、嫌悪を感じるどころか頭がクラクラした。     
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