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00.プロローグ
くぅ~、今日はいきなり……じゃなかったから、ハードル高っ。
鏡に映った濡れれネズミでどこか蒼ざめた顔の自分は、ことさら自信がなさそうで貧相に見える。
これまではホテルの部屋に入ったら、即齧り付かれちゃうか、私の方が抱き付く感じだったから、あんまりそういうことをあれこれ思い悩まなくてもすんでたんだけど。
久坂さんと、こうして夜の一時を過ごすのは、今夜で3回目。
今までの彼氏とは、どんなだったっけ?
いやいや、私のこれまでの乏しくて、悲惨な恋愛経験を引き合いになんか出したらダメじゃない。
何のために、頑張って違う自分になったの?
本当にそうなれているのかは、自分でもわからないけど、……でも、だからこそ今こうして、バスタオル一枚の姿で、久坂さんがいる部屋の隣の洗面室にいられる私がいる。
そろそろ電話終わったかな。
アフターファイブの時間にまで、仕事の電話がかかってきちゃうなんて、さすがは営業1部のホープよね。
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