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前回のように、人目のない会議室なんかじゃない。
通りかかった人たちが、一人二人と、遠巻きに人集り出す。
「こんなところで、そんな話……。」
「私は困らないもの。あれ、あなたの本命?どこで見つけてきたのか知らないけど、ずいぶん派手な男だったらしいじゃないの。車も凄いの乗っていたらしいし、人目も憚らずイチャイチャ?そんな地味そうな見かけして、あんがいヤリ手なんだ。」
私から声をかけたのに、矢継ぎ早に繰り出される不意打ちに、すでに私は押されてしまっていた。
失敗した。
まさかこんなところで、あれこれ暴露されてしまうなんて思っていなかったから、言いたいことの半分どころか、押されるばかりで対抗できていない。
こんなんじゃダメだ。
「あんたみたいな女って、裏でなにやってるかわからないものなのね。久坂さんも普通の男だったってことなんだろうけど、考えてみれば騙されちゃって可哀想。久坂さんも自分が二股かけられてたなんて知ったら、さぞや傷つくでしょうね。……いい気味だけど。」
この人はっ。
久坂さんを好きだと言ったその口で、彼を困らせようというの?
会社が変わってしまった、ただそれだけで、こんなに態度を激変させてしまうものだろうか。
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