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「そうでした!確か、あのとき、セツが雨が降ってきたと言っていました。それから… 血の水溜りをしばらく見つめてぼーっとしていた気がします。さすがに疲労を感じてるのかと思ったのですが。
───…確か、それからです。
あの子が豹変したのは…」
頭が痛い、と突然頭を抱え出して… と続ける雪斗に『なるほど…』と相槌を打つ。
「……ま、前兆はそれだろうね。ちなみに、今まではそんなことなかったのかい?」
「いいえ、まったく。淡々と流れ作業のように熟す彼に寧ろ私たちが驚いたくらいですよ。それに、あの子はどちらかと言えば心情的にも余裕がある感じで、この屋敷に侵入した刺客を倒したながらセツと雑談してたくらいです。…だから、余計に動揺が隠せませんでした」
面目無いです、と静かに溜め息つく雪斗に僕も肩を竦める
「……ふぅん?反省する態度よりも僕が見たいのは結果だよ、雪斗。僕はさぁ、これでも君を買ってるんだから、期待を裏切らないでよ?天下無敵な元副会長サマ?」
軽く口角を上げると、
「ふっ、貴方には敵いませんね。今も昔も…。」
「まったく、都合がいいよねキミは。っとに、どの口が言うんだか」
柔らかな笑みをつくる雪斗に腰に手を当てて僕は盛大に溜め息を吐いた。
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