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生徒会役員…?義父さんが…
不思議そうな表情をしていたのかもしれない。義父さんが俺の顔を見てくすりと笑う
「ふふっ、意外でしたか?まあ、南くんを入れる学園候補と少し関わりある話なんですがね」
そう言って目を窄めると、真剣な表情になる
「───私たちが住む社会には表と裏があります。闇があってこそ、光は輝くもの。どちらかが一方的に欠けてはならない。なぜなら勢力図が偏ることで今までバランスよく保っていたその均衡が崩れてしまうからです。
薄々、気づいているかもしれませんが、我が南条家は… その点も含めて少々、特殊な家系なんですよ」
…なんとなく、そんな感じはしていた。さっきはセツさんとお手合わせしてもらったけど、義父さんのほうが… どちらかと言えば隙が無いように見える。
「南条家は表社会では五本指に入るほど屈指の財閥ですが、裏社会ではその均衡を崩さんとする者や、一般人を攫い、中にはクスリの人体実験や人身売買などの悪逆非道な行いをする組織に加え、表と裏の均衡を保つ四家を陥れようと強引な手で出てくる人間がいます。そういった人間を南条家を含めた四家は闇に葬ってきました…
南くんは、そんな私を軽蔑しますか?」
そう聞いてきた義父さんの瞳は不安げに揺らいでいて、俺は… フルフルと首を横に振る。
「軽蔑だなんて… しませんよ」
「───確かに、義父さんがやっていることは… 一般的には間違っているかもしれない。でも、それによって救われている人間もいる… それに、なんでかわからないけど、不思議と… 既視感を覚えるんです」
「記憶が無いのに、可笑しな話ですよね」
だからか、この話を聞いても義父さん達を怖いとは思わない。そう口にすると、義父さんは目をパチパチと瞬きしたあとにフッと張っていた肩を下ろして小さくくすりと笑う
「…南くんは私には勿体ないほど、優しい子ですね」
「え?」
今度は俺のほうがパチクリして、首を傾げていると隣に立つセツさんまでもがクスクスと笑う声を漏らしていた。
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