出会い

15/33
203人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
『四校の学園では護身術はもちろん、様々な身の守り方、攻撃の躱し方、戦い方などを教授しています。それらは自分の身を守る為、周りの人間を守るため、学園の保護下を出た社会に何れ出たときに自分の身を守ってくれる人間はいない。だから、学園では社会に出たときに身を守る術を教えているんですよ。 …それが良いのか悪いのか、全寮制であるためにその鬱憤を晴らすため、それらの術を応用し、学園から夜な夜な抜け出す学生もいるようですが。もちろん、自らの意思で外へ抜け出した上での怪我や誘拐、殺された場合は、学園に非はないと自己責任での行動内として学園側は黙認している節はありますがね。 だから、学園に忍び込んでも、大抵はそれらの術を学び経験を積んできた上級生などが侵入者を見つけるや否や取っ捕まえて… は、まだ良い方ですね、酷いときは半殺しにしてから職員や風紀に突き出すのが… 大抵です』 は… 半殺し?どうしよう、いろいろ突っ込みどころが満載なんだけど。え、っと… 義父さんは俺をそんなおっかない学園に入れようと考えてるってこと… ? 「最初は記憶が無い南くんを入れるのはさすがに難しいかと思ったんです。実力を自分の目で確かめた上で学園に入れるか否かを判断しようと…。 でも、南くんは… そんな私の心配を余所に期待以上の結果を出してくれました」 ふわりと微笑んで、俺の頭を撫でる義父さんに何も言えなくなる。 「義父さん…」 「これでも貴方の身を按じているんですよ?南条家と一度関わってしまったばかりに、その命が狙われる可能性がある… 私たちが住む環境はそういったシビアな世界なんです。喰うか、喰われるか…。殺すか、殺されるか───。だから、貴方がそこそこ自身の身を守れるならば、と心配だったのですが、」 どうやら、その心配も不要だったようですね… と義父さんは嬉しそうに微笑む。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!