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ふと、目が覚めた・・・。
また長くて辛い一日のはじまりだ・・・。
僕は寝不足と疲労とで重たい身体を無理矢理に起こし、小さな溜め息を吐き出した。
その溜め息は十歳になったばかりの子供にしては重たいものだと自分でも自覚している。
「・・・痛い・・・」
僕は小さく、本当に小さく呟いてその痛むみすぼらしい左腕を外から入ってくる僅かな街灯の明かりに照らし、例の溜め息をまた吐き出した。
また大きな痣ができた・・・。
僕の左腕の肌のほとんどは元の色を失い、不気味な紫色へと変わっていた。
その大き過ぎる痣は何もしなくてもズクズクと痛み、まだ幼い僕の精神を朝から無慈悲に侵していった。
それでも僕は起きなければいけない。
僕は可哀想な子供だ。
自分でもそう思う。
と言うか僕には僕を可哀想と思ってくれる人が僕以外に誰もいない。
だから僕は自分で自分を哀れんで自分で自分を慰めなければならない。
僕は本当に可哀想な子供だ。
けれど、いつまでも感傷に浸っていられるほど僕は暇じゃないし、子供でもない。
今日はもう起きる時間を数分も過ぎてしまっている。
僕の朝は近所の雄鶏よりも早い。
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