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 日曜日の朝。  惰眠をむさぼっていた智秋(ちあき)の目を覚まさせたのは、階下から響いてくる一本の電話のコール音だった。 「……んだよ、こんな時間に」  寝ぼけ眼で見上げた先にある時計の針は10時を指している。  周りに言わせれば、別にこんな時間というほどには別に非常識な時間帯ではないのだが、本人にしてみれば、せっかくゆっくり寝ていられるはずの休日の朝なのに…と、文句のひとつも言ってみたくなるのは仕方ないという心境だろう。  大きな口を開けてあくびをしながら、智秋はゆっくりと階段を下り、面倒くさそうに受話器を持ち上げた。 「………はい、天野(あまの)ですが」 「ごめんね、智秋。もしかして寝てた?」 「由宇(ゆう)か!?」  電話口から届いた柔らかな声に一瞬で覚醒し、智秋は誰も見ていないにもかかわらず直立不動の姿勢を取って受話器を持ち直した。 「こっちこそ電話取るの遅れて悪かった。どうした?」 「あ、実は今、深月(みつき)の学校に来てるんだけど」 「深月の?」  そう言えば、深月に忘れものを届けに学校まで来てほしいと頼まれたので行ってくるねと、朝、由宇が出かけていったことを思いだし、智秋はポンッと手を打った。  ベッドの中から顔を出すこともせず、夢うつつのままそのことを聞き、いってらっしゃいと手を振ったあと、そのまま二度寝に入ってしまっていた為、すっかり忘れていたのだ。
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