***(2)***

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「なんだ。今日は由宇が作った夕飯じゃないんだ」 「仕方ないだろ。深月の奴が連れ出しちまったんだから」  時刻は午後七時。  智秋と弟の大地はふだんの半分の量の皿、つまりは二人分しか並んでいない夕食に箸をつけていた。  やけに不味く思えるのは、人が少なくて寂しいからというのもあるだろうが、内容がほとんどレトルト食品だったということも理由のうちだ。 「いいなあ……みつ(にい)。俺も外食したかったー」 「贅沢言うな。黙って食べろ」 「何食べてるのかな?」 「んなのたぶん似たようなもんだよ。ハンバーグとか」 「あーあ、同じハンバーグでも全然違うんだろうなあ。外食だと」 「なに言ってる。最近のファミレスの味なんて、そこらの冷凍食品とどっこいどっこいなんだぞ」 「そんなことないよー」  いくら言い聞かせても大地の不満は収まらない。  深月達も今頃帰り道の何処かでファミレスにでも入っているのだろうが、あちらは恐らく随分と楽しい夕飯になっているはず。そう考えると、大地が不満を言うのも当然と言えば当然なのだ。 「二人は何時ごろ帰ってくるの?」 「そうだな……あと一時間くらいかな」  深月からは、少し前に勝利の報告と、これから夕飯を剣道部の仲間達と取り、その後帰路につくという電話をもらっていた。となると実際家に着くのはあと更に一時間ほど後だろう。
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