爆裂

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「風雅……出海……」 煙の中で景色はほとんど見えない。 誰かの腕が見えた。 それを掴むが、それは 腕だけだった。 「うわぁあああああ!」 それだけではない。 顔が、腕が、足が、まるで破壊された玩具のように転がっている。 全員死んだ。 ハメられたのだ。 だが自身は五体満足で生き残っている。 頭は動く。 考えられる、ならば考えるべき事は何だ? 殺人鬼の正体。 「ねぇ!何があったの!ねぇ!」 六道の娘が涙を流しながらすがりついた。 「大丈夫だ。大丈夫だよ」 この子だけは守らなければならない。 母親がこんな状態では、その役目は最後に残された自分だけしかいない。 犯人は誰だ?……いや 消去法でいけば犯人は既に断定されている。 「お前……なのか?」 目の前には床に横たわる六道の姿があった。 「最初の犠牲者になる事で容疑者の疑念を消したのか」 「風雅と出海は死んだんだ!……もう迷いの余地もない」 「何故……私が……私が……」 六道は未だに呟き続けていた。 「答えろ六道!」 「何故……ですか」 「私だけ……は母のフリをすれば……助けてくれる……と……言っていたのに……」
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