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――桜舞い散る春の空。
学園の門の前を一人の女子高生が歩いていた。
幼馴染の彼女は笑顔で手を振る。
「おはよう」
何気ないその一言は記憶に残る最後の挨拶。
そこから先は血の景色しか覚えていない。
血に染まった大型トラックの映像。
KEEP OUTと書かれた黄色いテープ。
事情聴取をする警察官。
「ひき逃げだってよ、可哀そうに」
「まだ若い女の子なのにねぇ・・・」
これは夢?
夢に違いない。
これより酷い悪夢なんて存在しない、終わりのない悪夢などない。
きっと目が覚めたら暖かいベットの中だ。
暖かいコーヒーを飲みながら制服に着替えて、鞄を背負って学校に向かうんだ。
そしたら・・・彼女にもう一度挨拶をするんだ。
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