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「爆弾魔?何か爆発物を使って、それで我々を皆殺しにしようと言うのか?」
『いえ、爆発物は所持しておりません』
『爆発物を産み出す能力を持っています』
『それが殺人鬼に与えられたハンデでございます。とはいえ…多勢を相手にすれば勝ち目はございませんが……ぐぐ』
フレデリカは痛みを感じ、口を抑えてしゃがみこむ。
「どうしたんだ?喋れないのか?」
『いえ、問題ありません。すぐに治癒致します』
「見せてみろ」
彼女の口の中は真っ赤に爛れており、口の中の皮が剥がれていた。
「……」
治癒の早さには限界があるのだろう、頭を怪我した直後だからか治りが遅い。
「……しばらく黙ってていい」
『いえ、問題ありませんが……』
「仕事だからか?痛みは感じるんだろ?」
棚に置いてあったコップを手に取り、氷が入った水を渡す。
『……』
フレデリカは女座りでそのコップを受け取り、驚いたような表情を浮かべる。
『何故そんなに優しくしてくださるのでしょうか?』
「いや、当たり前の事をただ当たり前にしているだけだよ」
『……違う。それがおかしい』
彼女は低い声でそう呟いた。
『あなたは違う。彼らとは異なった存在……』
「何?おい!今お前何て言った!」
その瞬間だった。
耳が裂けるような火薬の『炸裂音』が部屋全体に鳴り響いた。
そして何処かで猫の鳴き声が聞こえた。
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