第九章 ふるさとを思う

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 でも、惣兵衛に言われて気が付いた。 光二は輝夜のままに、綺麗なお姫様で良かったのだ。 その容姿だけで、多分、つりが来るくらいには凄いのだ。 『光二は、光二でいいでしょ。俺も守人にしかなれないし』  光二はひっそりと内に来て、俺が表面になった。  窓の外は雨で、いつもより人が少ない。 綺麗な光二をいつまでも見ていたいとも思うが、それは二重人体なので、 鏡に映った姿しか見られない。 今、ガラスに映っているのは、俺であった。  二重人体で、双子であるので似ている筈なのに、俺は光二のように綺麗ではない。
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