第九章 ふるさとを思う

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 舌の裏なども刺激されてしまい、息が出来ない苦しさと、 知らない刺激を受けているドキドキとで、酸欠になってしまいそうだった。  苦しいので、志摩の頭を叩いでみたが、志摩は離れそうにもない。 そこで、両手で必死に志摩を離そうとした。 志摩は、俺が逃げられないように、掴んでくるだけで。苦しいなどとは理解してくれない。 「……志摩」  やっと、離れたので息を幾度も吸ってしまった。 「愛しています。守人さん」  言葉など無意味だと思いつつも、志摩から言われると安心する。 幾度も幾度も、聞きたいと思う。 「志摩、もっと言って……」 「大好きですよ、守人さん」  大好きと愛しているは、比較の対象になるのであろうか。 どちらも、心地よい響きであるが、愛の方には生活を感じてしまう。 要は、純粋ではない。
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