第一章 雑草にも花は咲き

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「それは、分かります……」 「あ、上月もそうなのか……分かってないな……俺達はもう知っているわけよ」  何よりも大切だった者に先立たれ、残された時の気持ちを、もう李下も知っているという。 「だから兎屋は、未来を予測し、×の心を助けようとしている」  少しでも傷つかないように、先の事を言っているらしい。 「兎屋はいい人なのですか……」 「それは違うけどね。決して、いい人ではないね」  李下は、あれこれ兎屋の性質を言っていた。 まず、面白くなければ、決して動かない。 どんなに助けを求められても、自分が面白いか面白くないのかで、 兎屋は判断するという。
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