第一章 雑草にも花は咲き

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 俺の出身地、壱樹村(いつきむら)の山奥には、仙人が住んでいる。  その仙人はどういう人であるのか、 同居している黒川 誓悟(くろかわ せいご)に聞いてみると、無視されていた。  やってきた黒川の兄、永新(えいしん)に聞くと、同じく話をはぐらかし、 俺に教えようとしない。 「では、行って、仙人に会ってくる!」 「それは、止めて!」 「止めて!」  今度は、二人同時に止めてきた。 「でも、李下(りか)さんが勧めてくれたけど……」  二人が言うには、仙人はかなりサドで、そういう意味では悟りを開くという。
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