第一章 雑草にも花は咲き

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「怒りが無になった時に、悟りが開けるというけど、俺の場合は怒りの先を見たよ……」  黒川の場合は、仙人に対しての怒りが我慢の限界を超えたという。 それで、むしろ平常心というのが何なのか分かったらしい。  永新の場合は、煩悩を無くすよりも、煩悩を理解し、煩悩と共に生きる道を選んだらしい。  ×の能力を伸ばすと言われているが、それは何かの限界を超える事なのかもしれない。 「そもそも、上月は×ではないでしょ」  俺、上月 守人(こうづき もりと)は、守人様という能力を持った人であった。  ×と呼ばれている者は、人よりも遺伝子が多く、 自分にはない遺伝子を喰って得ようとする性質を持つ。 より多くの遺伝子を持った者は、神になると言われ、村では×を神とも呼ぶ。
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