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「どこにいるんですか?」
「ここではないどこかだな」
「……どうすれば会えるんですか?」
「手順をきちんと踏めば会えるな」
「……誰にでも?」
「そう聞いている」
応えているようで、その答えはどうもはぐらかされているように実感のないものだった。
ベトは酒を煽る。
どうもオレアンといえど、一応は神父。
こちらの言葉を煙に巻いて神秘然と見せることはもはや職業病になっているらしい。
単刀直入に聞いてこれならば、仕方ない。
神父と迷い子よろしく、相談の体を取ろうとベトは決めた。
「……俺の知り合いが、悪魔憑きかもしれなくて」
「ほう」
さして驚いた様子もなく、オレアンは答える。
この話が始まった時点で、それぐらいは予想していたという感じだ。
気心が知れているとこの辺りが楽でいいとベトは思う。
「悪魔憑きかそうじゃないかって、見分ける方法ってあるんですか?」
「難しいな」
またも迷いなく一言、杯を豪快に煽る。
さらに手酌で注ぐのを見て、ベトはもはや何杯目かを数えるのをやめた。
バカらしい、というか頭回らないし。
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