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「教会には、悪魔憑き――現在魔女という名称に統一しようとする流れがあるが、それの、」
「魔女? それは悪魔憑きが女性限定のもの、ってことなんですか?」
「いや、悪魔憑きは男性にも起こり得るさ。しかし男性の場合も魔女、という名称になるらしい。おれもよくわからんが、どうせ伝承から来ているんだろう。お偉方の考え方はおれにはわからんよ」
なはは、と肩をすくめる。
それにベトもはは……と苦笑いで応える。
閑話休題、オレアンは本筋に戻り、
「で、魔女の扱いについて教会側では思うところがあるようでな。傭兵としてあちこちに行っているお前にはわからんだろうが、現在各地の教会では魔女裁判というものが定期的に行われている」
「魔女裁判、ですか? なんすか、それ?」
「魔女かどうかを判断し、魔女と認定されれば刑を執行される。そういうものだ」
ベトはしばし、沈黙した。
「……魔女って、」
「刑を執行といっても、その前に命を絶たれるケースも多いらしいし、確定したらもちろんほとんどアウトという話だ。世知辛いな、世の中は」
「…………」
いくらベトが流れモノの傭兵といっても、噂ぐらいは耳にしたことがある。
しかし眉つばと思っている魔女の、さらに眉つばのような話だ。
あまり相手にはしていなかった。
しかし実際は、それは教会の横暴のような内容だった。
「難儀だな」
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