第1章

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 疑心暗鬼は、止まらなくなる。  そう考えたら、周りの何もかもが信じられなくなる。  世界そのものに、疑いを持ってしまう。  だがもし。  見たままが、真実なら?  せんせいは言った。  悪魔は存在すると。  臆面も躊躇ないもなく。  悪魔。  それに憑かれた、魔女。  もし彼女が魔女だとするなら、その言葉は悪魔が言わせているものなのだろうか?  その想いも、感情も、必死の行動も、なにもかも彼女のものではないのだろうか?  そうだとした時、自分はいったいどうすればいいのか?  なにひとつとして、答えは出ない。  なら自分はわざわざ二日近くもかけて、ここまで何しにきたのだろうか?  自分はなにをしたいのだろうか?  ただ生きるために生きる、と自分はこういう時に思ってきたはずだった。  なぜその答えが、すぐに出ないのか?  変わったのか?  自分が?  それとも変えられたのか?  この、自分が? 「……だから、どうだっていうんだよ?」 「わ、やっぱり凄いですね」
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