再会

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再会

 後頭部を小突かれる感触で、星野悠斗(ほしのゆうと)はあっさりと目を覚ました。テーブルに突っ伏していた顔を上げ、ふらつく首に手を当てる。数回瞬きをすると、五感すべてに現状報告の波が押し寄せてきた。昼時のファミリーレストランは込んでいて、ピンポーンと、店員を呼ぶチャイムの音がひっきりなしに鳴っている。悠斗の寝起きの体は、どこもかしこも汗ばんでいた。暖房が効きすぎているのかもしれない。カーディガンを脱いでワイシャツのボタンをひとつだけ外した。左隣に座っている鈴木に「起こしてくれてありがとう」と、欠伸混じりに礼を言った。 「星野が頼んだやつ、来たよ」  鈴木が悠斗の前にハンバーグと唐揚げが載った皿を置いた。その横に、ご飯の盛られた白一色の皿が付いてくる。デミグラスソースがかかったハンバーグからは勢いよく湯気が上がっていて、作り立てであることを主張しているみたいだ。お腹が素直に反応する。正面の席に座っている葉山を見てみると、ずずっと音を立てて担々麺の赤いスープをすすっていた。毒々しい見た目や鼻にツンと来る匂いがいかにも辛そうで、これはこれでうまそうだと思う。 「いただきます」     
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