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隣で寝息を立てる悠斗の頭に、鼻を擦り付ける。茶色みのあるサラサラの髪の毛から、自分と同じシャンプーの匂いがした。自然と口元が緩んだ。
悠斗が通うM大が冬休みに入ってから今日の夜まで――つまりこの一週間、ふたりは顔を合わせていなかった。悠斗が千葉の実家に帰省していたからだ。
「やっと会えたってのに……」
ほっそりとした頬に右手を添える。もともと悠斗は痩せているが、更に肉付きが悪くなったような気がして、真人は眉をひそめた。ふつう実家に帰ったら、お袋の味を食べ過ぎて太りそうなものだが。
「――先輩?」
悠斗が掠れた声で、真人のことを呼んだ。眠そうな目でこちらを見ている。
「ごめん、起こしちゃったな」
首を横に振って、悠斗がゆっくりと瞬きをした。涙が零れてきそうなほど、彼の瞳はいつも潤んでいる。黒目はもちろん、白目まで光沢があり、くっきりとした二重瞼と相まって、一度見つめられたら忘れられないほど強烈な目力を発揮している。真人が思わず見惚れていると、悠斗がふわっと口をほころばせた。
「せんぱい、すき。今すぐしたい」
少し舌足らずな、甘えた声。悠斗が緩慢な手つきで、真人の下腹をパジャマ越しにまさぐってくる。
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