817人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
これは半分寝てるな――そう察知したものの、真人は悠斗の手を退けることができなかった。恋人に撫でられた場所が、いとも簡単に熱を帯びる。――自分も飢えていたのだ。
「途中で寝るなよ」
悠斗のパジャマを脱がしながら、一応釘をさす。寝ないよ、という欠伸混じりの応えを耳にして、また真人は苦笑した。意味のない約束だ。悠斗は行為の最中でも――イきそうになったときでさえ――睡魔に逆らえずに眠ってしまう。
パジャマの上下を脱がせ終わり、下着のウエストゴムを摘まむ。そのまま一気に膝下まで下げる。
「あ……」
大人しく真人の手に身をゆだねていた悠斗が、反射的に股間に手を持っていく。だが、茂みから覗く彼のものは、隠せないぐらいに兆していた。
「見せろよ」
真人は悠斗の手を股間から引きはがした。
ふたりがはじめてセックスしてから三年の月日が経つ。行為自体には慣れているのに、全裸になる瞬間だけは必ず恥ずかしがる。そういう彼の初心なところが愛おしい。赤くなった顔も、バツが悪そうに逸らす目も可愛いと思う。
「悠斗」
名前を呼び、彼の片頬に手を当てる。
――やっぱり、少し痩せた。
気になったものの、今話題にすることじゃないと口を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!