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12月30日 悠斗視点
股間を拭かれている感触で、悠斗の意識は現実に引き戻された。瞼を開けると、明度を落とした照明の光が目に入り込んでくる。眩しくてクシャミが出た。
「起きたか」
ちらりとこちらを見た真人と、目が合った。彼はすでにパジャマを着ていた。
悠斗は自分が取らされている体勢を認識し、顔が熱くなった。
悠斗の腰は枕で浮かされていた。さっき真人を受け入れていた部分と性器を、湿ったタオルで拭われていたのだ。ゴムはつけてくれていたから、内部に残ったローションと、悠斗が吐き出したものを。
「先輩、ごめん」
――またセックスの最中に寝てしまった。今回は挿入された瞬間に射精して、寝落ちした。
「いいよ。お互いちゃんとイったし」
でも、不完全燃焼の感が強い。真人のほうも、物足りなさを感じているはずだ。恋人は自分とのセックスにちゃんと満足してくれているのだろうか。
「あのさ――もう一回する?」
悠斗の誘いに、真人は少し驚いたように目を瞬かせた。そのあと口元を綻ばせたものの、彼の答えはノーだった。
「また明日しよう」
「明日って――忙しいじゃん」
明日の朝、悠斗も真人も、自分の実家に帰ることになっている。
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