12月30日 悠斗視点 

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「ここを出る前に一回ぐらいできるだろ。悠斗が起きられれば」  話は終わり、とばかりに、真人はタオルを持ってベッドから下りた。 「早くパジャマ着て寝ろよ」  真人はそう言うと、タオルを洗いに洗面所に向かってしまう。  恋人の冷静な態度が、少し面白くない。真人ともう一回、エッチがしたかった。真人のものが入ってきたところで寝てしまったのだ。これから、という場面で強制終了されてしまった。  ひとつため息をついて、悠斗はベッドの下に落ちたパジャマと下着を拾い上げた。床にはさっき読んでいた文庫本も落ちていた。図書館で借りた、ずいぶん前に人気が出たミステリー小説だ。 「いまいちだったな」  本を拾って、ベッドサイドの机に置いた。  パンツを履いたところで、真人が部屋に戻って来る。 「まだ着てないのか」  呆れた顔をして、真人がベッドの端に座り、悠斗に手招きをした。 「着せてやるからこっちおいで」  まるで子供を相手にしているような態度だ。  悠斗は少しムッとして「自分で着るっての」と言い返した。 「俺がやりたいんだよ」     
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