第3章 親になっても愛し合いたい

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急展開過ぎて頭が付いてこないが、良い話だということはわかる。 俺は先生に返事をする余裕もないまま立ち上がって家を見渡した。 並んだ家具に、整理整頓されているとはいえ規則性のないインテリア・・・昭和を感じさせる家の作りそのままの家。 「いきなり仕事モードだね。よっぽど、好きらしい」 「そうですね・・・」 後ろで2人の穏やかな会話が聞こえて、俺は我に返った。 「良いんだよ。そのまま、家のなか見て回ってきてくれて。私の友人が建設会社の社長なんだけどね、今度引き合わせたいからまた時間とってくれる?」 「あ、はい。わかりました」 奥さんがまさかのすし桶を持ってやってきた。俺達のためにわざわざ寿司をとってくれていたんだ。 「お祝いのつもりも兼ねてね。東海林君の門出と、お子さん誕生と、素敵な奥さんとの強い絆に私からの気持ちだから」 普段、食べれないような上等の寿司だった。 「ケーキは食後にいただきましょうか」と、奥さんはなぜかキッチンの方で食事をするらしく向こうに戻って行ってしまった。テーブルの上には三人分の支度だけをして。 「あ、妻は一人で食事するほうが好きなのでお構いなく」と、校長先生がさらっと説明した。
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