第3章 親になっても愛し合いたい

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葬式の時、俺は・・・おれは・・・・・あまり良く覚えていない。 涙が溢れ出す。 ・・・ちゃんと悲しむことも、お別れも・・・あの日、あの時、俺は自分のふがいなさとショックで無力さに打ちのめされていたから・・・。 「お義母さんが晴馬にすっごく謝っていたんだって・・・。 お義父さんは晴馬なら大丈夫だって言っていたって・・・」 知らなかった・・・。 裸で抱き合いながら、俺はこみ上げてくる嗚咽を抑えきれなくて夏鈴にしがみついて泣いた。 父さんは・・・俺のことを、ダメな俺のことを信じて・・・くれていたんだ。 それなのに、俺ときたら父さんを弱っちいだの女々しいだのって・・・誤解してたのか・・・ 言えなかったのは母さんの方で、父さんはただ信じて待っていたんだ・・・。 それなのに、母さんは・・・昔の恋人に・・・。 それなら、俺が父さんでも酒に溺れたくなるだろう。俺の知る限り、酒なんて殆ど飲まない人が、あの夜だけは異常に酒におぼれていた。飲まずにはやってられなかったんだろうか。どうして、追いかけなかったんだろうか・・・?
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