第3章 親になっても愛し合いたい

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どこかうろ覚えだったそのセリフから当時の俺は強いインパクトを受けた。 いつか、自分にも家族ができたときはそんな心構えでいられたらいいなって思ったんだ。 あの時父さんと一緒に見た海の色は、北海道の太平洋にしては青くて綺麗だったことを覚えてる。 強い風を受けながら、手際よく餌をつけた釣り糸を海に投げ入れてリールを巻く父さんの横顔を、ありありと思い出した。 カッコいいなって思った父さんの映像記憶が次々に浮かんできた。 アウトドアに連れて行ってくれた。 バイクの後ろに乗せてくれた。 登山の時、逞しい腕で引っ張り上げてくれた。 足首を怪我したとき、背中に背負ってくれた。 母さんが不調で入院したときも心配いらないからと、いつもの日常を淡々と送る姿勢も今思えば俺達子供を安心させるためだったんだ。 冷たい人だと思ったけど、そうじゃなかった。 全部、ぜんぶ、・・・愛だったんだ。 愛されていた。 大きなゆりかごになってくれていた。 父さんは滅多に声を荒げて俺を怒ることもしなかった。 しずかに諭すように話しかけてくれる、そんな人だった・・・。 あれもこれも全部が・・・愛だったんだ。
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