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「よろしければブールも試してみませんか?」
「……ブール?」
わたしにはブールが何なのか、恥ずかしながらわからなかった。
「パンです。フランスパンよりも少し柔らかくて、しっとりした食感の――」
「でも、わたしお金……」
薦めてくれるのは嬉しいけれど、わたしは高校生でロクにお小遣いもない。ランチメニューで限界。
「お金は大丈夫です。これからメニューに入れようと思っているもので、よろしければ試食にご協力いただけませんか? 若い方の声が特に聞きたいんです」
だったら、と快諾するとやっぱり店員さんはにっこりと満面の笑みを浮かべてカウンターの奥にいなくなる。
きっとブールの用意をするつもりなのだろう。
わたしはまず目の前のランチを食べることにした。
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