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自然と笑顔になれる。
初めて、わたしは食事が楽しいって思った。一人なのが残念だけど。
あ、でも。今は相席をしていて、一人じゃない。
「美味しくて泣きそう」
よくわからない涙が頬を伝っていった時、青いハンカチが目の前に現れた。
びっくりしていると、それを押し付けるように持たせてくれたのは、店長さんだ。
「悲しい、苦しい、寂しい。人間はそういうものと共に生きている。それでも、食べている時くらいは忘れてもいいと思う」
「……あの」
「忘れられるくらい美味しいものを提供するのが私の仕事だと思っている」
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