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「美味しい」
心からそう言ったのは初めてだった。
優しい雰囲気のそこは、いつもだったら見逃して通り過ぎていた。でもあの日はたまたま、店長さんらしき人と目が合った。
だから入りたくなったのを覚えている。
高校生だったわたしが、オシャレなカフェに一人で入る勇気はない。それなのに、どうしてあの日だけその勇気があったんだろう。
いらっしゃいませという言葉があったのかも忘れたけれど、気づけば案内された席にいた。
たまたま目に入ったランチメニューの文字。平日の昼間に制服姿のわたしを警戒することもなく、店員さんは注文を聞いてくれた。
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