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新田さんはそう答え、ちらりとこちらを見た。手を伸ばして、私を抱き寄せる。
「わ」
「べったべたじゃない。アンタどんだけ女子力低いのよ。ちゃんと拭きなさいよ」
頭をわしわし拭かれ、私は抵抗した。
「自分でやりますよ。藤沢周平読んでください」
「やれてないでしょうが。風邪ひくわよ」
背中や、頭に新田さんの体温を感じ、私は胸を高鳴らせた。触れ合うのも、久しぶりだ。もっと、触りたい。私の頭を拭き終え、新田さんはタオルを下ろす。
「はい、ふけたわよ」
私は、新田さんの寝間着を掴んだ。
「なに」
ぎゅっと抱きついたら、新田さんがふ、と笑う。
「なんで笑うんですか」
「あんた、コアラみたいね」
「コアラじゃないです」
「可愛いじゃない、コアラ」
新田さんが、私のお腹に手をはわした。
「ん、なんで、いつもお腹触るんですか」
「弱いから」
「ん」
新田さんの唇が、私の唇に触れる。キスされて、お腹を触られてるだけなのに、身体がじん、と熱くなった。
「新田、さん……」
「なに」
「もっと、触って」
彼が目を細める。
「やらしい」
新田さんの手が、上の方へ動く。私は、彼の手をぎゅっと握りしめた。足を動かすと、シーツのシワが寄る。皮膚の上を、新田さんの手が滑る。耳元で低い声が響いた。
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