そのろく。

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 新田さんはそう答え、ちらりとこちらを見た。手を伸ばして、私を抱き寄せる。 「わ」 「べったべたじゃない。アンタどんだけ女子力低いのよ。ちゃんと拭きなさいよ」  頭をわしわし拭かれ、私は抵抗した。 「自分でやりますよ。藤沢周平読んでください」 「やれてないでしょうが。風邪ひくわよ」  背中や、頭に新田さんの体温を感じ、私は胸を高鳴らせた。触れ合うのも、久しぶりだ。もっと、触りたい。私の頭を拭き終え、新田さんはタオルを下ろす。 「はい、ふけたわよ」  私は、新田さんの寝間着を掴んだ。 「なに」 ぎゅっと抱きついたら、新田さんがふ、と笑う。 「なんで笑うんですか」 「あんた、コアラみたいね」 「コアラじゃないです」 「可愛いじゃない、コアラ」  新田さんが、私のお腹に手をはわした。 「ん、なんで、いつもお腹触るんですか」 「弱いから」 「ん」  新田さんの唇が、私の唇に触れる。キスされて、お腹を触られてるだけなのに、身体がじん、と熱くなった。 「新田、さん……」 「なに」 「もっと、触って」  彼が目を細める。 「やらしい」  新田さんの手が、上の方へ動く。私は、彼の手をぎゅっと握りしめた。足を動かすと、シーツのシワが寄る。皮膚の上を、新田さんの手が滑る。耳元で低い声が響いた。     
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