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後半
去年、8月に3年生の先輩が引退して一時期吹部は軽く荒れた。
来ない人は数人いたがそれでも部活は毎日あった。
4月になってみんな1学年進級し、1年生が入ってきた。
5月に3年生になった先輩達が修学旅行に行った。
俺はこの日、現実を見せられた。
先輩達がいなくなった途端、みんな自由にいろんなことをやり始める。
普段はやらない簡単な曲を基礎にしたり、他のパートと遊びながらやったり、先輩が行く前にあみだくじで決めた部長代理の話を遮ったり、時間を守らなかったり……。
いつもは真面目に取り組んでいると思っていた人までお喋りをし続けて。
このとき、俺はもう誰も信用なんかしないと心に誓っていた。
放課後の部活。
朝あったことが夢だったらいいのにと頭の片隅で思っていた。
だが、音楽室にいくとその願望が全て裏切られた。
「夢なんかではない、これが裏切られた現実だよ」
と、思っていたことを全て打ち明けたサックスの男子に言われた。
実際に言われるとかなり傷ついた。
このとき初めて野本を恨んだ。
あいつが俺を吹部に入れなければこんな思いはしなくて済んだ。
もともと、俺と野本は幼稚園からの幼馴染だった。
だから、今までは揉め事など起こさなかったが今あいつが目の前にいたら絶対に殴ってる。
いや、今すぐここに呼び出して殴りたい。
許さない、俺にこんな現実を見せたあいつが許せない。
そんなイラついてる俺の耳に最悪な言葉が入った。
「あーあ。先輩達がいないとこんなにやばくなるんだ。全てが小説みたいにハッピーエンドになればいいのに」
同じパートの女子達だった。
小説? ハッピーエンド?
そんなことが、出来たら俺はこんなイラついてねーよ!
全てのことが小説みたいにハッピーエンドで終わることなんてないんだよ。
俺の学校生活なんてきっとバッドエンドだろう。
だったら、もうこの世界ごと滅びてしまえ。
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