千紗の結婚相手 #2

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千紗の結婚相手 #2

千紗は取り敢えず家族会議を招集した。とにかく、ひっそりと町民には知られずに、王子様は御忍び旅なのだからと、千紗の立場も考慮してよと、婚約もしてないのだからと、もう最初から深夜に家族は集合することに決定し、東京のジジババにも連絡、下川のお祖母ちゃんには町民に気付かれないようにと納得して貰った。かなりガッカリしていたが、理解してくれたので一安心した。身内への連絡を密に取り、しっかり話し合った。突然、隼人からLINEが届き、父上様まで下川へ行ってみたいと連絡あったとの事で札幌から運転手と車で一緒に出掛けることになったけど、良いかなと言ってきた。何だか大騒ぎになりそうな予感がしてきていた。しかし、断る事はできないし、是非ともと返事をしたが、ろくにデートもしていないので、二人で下川行きの打合せを小樽の街を散策しながらと約束した。小樽運河の夜の街灯の柔らかな雰囲気に包まれながら千紗と隼人は寄添い二人の影が初めて一つになろうとしていた其の時に突然「千紗ちゃんじゃないの。」と、焦って顔を見上げたらママの高校の同級生のミエおばさんだった。そう言えばおばさんは画家で札幌から小樽に引っ越していたんだったと思い出し、「ミエおばさん、こんばんは。ご無沙汰しています。」かなりムード盛り上がっていたのにとがっかりしながらも彼氏を紹介した。「あら、千紗ちゃん、もしかしたらデートのお邪魔だったのかもね。ごめんね。私、この近くの古い喫茶店で個展開いてるのよ。お時間あったら寄ってね。」と二人にコーヒーチケットを二枚渡した。「おばさん、ありがとうございます。ママにも伝えます。失礼します。」 また隼人と二人きりになったが、何だかお互いに照れくさくなり、しかし、二人は手を繋ぎながら、喫茶店に入った。ミエおばさんの油絵は繊細なタッチで鮮やかな色彩が心を惹きつけ、うちのママとは違って芸術家なんだなと深い溜息をついた。
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