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「いいえ、信じていますよ」
「ほんとうか~? 怪しいもんだ」
「ほんとうですよ。あぁ、そこ、少し段差になってますので、お気をつけて」
「わかった……それにしてもあんたの手、ふかふかしてるなぁ。さては良い毛皮の手袋だな?」
「ふふ、そんな大層なものじゃあございませんよ」
「またまた。見えないが、きっと建物の中も洒落た内装なんだろうな」
「お客様のご想像にお任せいたします……そろそろ玄関に着きますよ」
「どれ、次の予約を入れたいんだが」
「申し訳ありません、当店不定期開店なもので、予約の相談はできかねます」
「ほんとうに趣味なんだな」
「失礼ですがお客様。『趣味』ではなく、『生きがい』でございます」
「趣味も生きがいみたいなもんだろう?」
「いいえ。わたくしにとって、人の悪夢を払い、快眠を促すことは生きる意味とも言えるのです」
「お、おぉ、なんだそこまで言われるとなんか、なぁ……」
「熱くなってしまい、申し訳ありません」
「いや、いいさ。せっかくこんな良い店に巡り会えたんだ。機会があったらまた頼むよ」
「かしこまりました。では、お客様、お詫びの代わりにひとつ。おまじないの言葉をプレゼントいたします」
「言葉?」
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