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宵は一通りやることを終えると、小助と共に城下に行った。
その際、小助からずっしりとした袋を渡された。
「今日のお小遣いです。給金は後日正式に出ますので、これは私からのお小遣いということで本日は好きものを買ってください。」
「いいんですか?」
「もちろんです。」
「ありがとうございます!」
宵は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「こちらが呉服屋、こちらが甘味屋、こちらが八百屋、あちらが魚屋です」
「………とても広いですね……」
説明を聞きながら、感心するように呟いた。
「当然です。我らが幸村様の治める地です。平和で豊かなところです。」
「素敵ですね………」
口から零れるように呟いた。
「宵さんの故郷は平和では無かったんですか?」
「………………え?」
「あ、いえ、少し憧れのようなものも感じましたので………」
「憧れ………そう……かもしれませんね。だってここは…本当に平和で…楽しく幸せに暮らせそうな地ですから。どんな所で育っても憧れますよ。」
「光栄です。」
「そういえば小助様はよく城下に来られるのですか?」
「いえ?滅多に外出しませんよ。私は幸村様への書簡の整理や上田城の情報を管理していますからそうそう城から出られないんです。」
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