第十四章 相愛

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リビングに腰掛けて、汗ばんだ手のひらを握りしめた。 「ミナトは、俺と付き合ったこと後悔してない? 最近友達だった時よりも距離を感じてさ。」 「してない。後悔なんてするわけないよ。 ・・・ただ、俺もリンとの距離は意識してたよ。」 ・・・・・・やっぱり。 「意識って、どういう事かよく分からない。 つまり、近づきたくなかったって、こと? 俺は意識してたけど、ミナトとは逆の意味だよ。触れたかった。」 ・・・言った。言ってしまった。 ミナトの反応を伺うように見ると、 「・・・それ、ホント? 勿論俺も触れたい、んだけど。その、なんてゆーか、リン相手だと歯止めきかなくって。 最初も、この前も・・・無理させたなって自覚はしてるんだ。 がっついて・・・引かれたくないし。 はぁ~・・・逆効果だった訳か・・・。」 盛大に項垂れたミナトの言ってることが少しずつ理解出来て、なんだか少し恥ずかしくなる。 「じゃあ、ミナトは今も・・・」 「好きだよ。好きに決まってるじゃん。 俺、きっとリンが考えてるより相当重症だよ?」 その言葉を聞いて、安心した。 ミナトの気持ちは変わらず俺に向いてくれていた。 「・・・そ、そうか。」 「あのね、リン。 リンはもっと自覚して欲しいんだよ。相手が異性だろうが同性だろうが自分がどういう風に相手に映るのか。 今日もあの人リンの事狙ってたみたいだし、・・・前にあった先生も。 誰にもリンを見せたくなくて閉じ込めときたいとか考えてるんだよ、俺。」 「・・・・・・え、そんな訳、」 「自覚してよ、お願いだから。」 ミナトが懇願するように俺を見る。 納得はあまり出来なかったけど、小さく頷いた。 俺の事を周りがそんなに意識してるなんて思えない。 ましてや、可愛い顔をしている訳でもないし。 「この際だから言っちゃうけど、俺リン見てるだけで起つから。 マジで先週キスされた時はヤバかった。」 ・・・あの時か。 「・・・もしかして、それで」 「・・・っっ~そう。格好悪いじゃん、俺。」 そうか、そうだったんだ。 「・・・・・・引いた?」 不安そうにミナトが訪ねてくる。 「・・・引くわけ、ない・・・。」
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