第九章 決意

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少し明るさを感じて眼を開けたけれど、朝というにはまだ少し早い時間だった。 身動ぐと、ミナトが起きそうになる。 ・・・俺、好きだって言えた。 昨夜の出来事を思い返しながら、嬉しくなって思わず頬が緩む。 「!!」 「あ、気付かれた。・・・おはよ、リン。」 うわ、見られてた?俺。 「お、おはよ。」 「・・・何、思い出してたの?」 うわぁ、やっぱ見られてた。 「べ、別に。」 「・・・・・・。」 視線が痛い・・・。コレは言えってことかな。 「・・・や、その。 ちゃんとミナトに気持ち伝えれてよかったなぁって。」 何だか恥ずかしくなってミナトの眼は直視できなかったけど、口元が笑ったのが見えて 「何ソレ、・・・・・・めっっっちゃ嬉しい。」 「な、大袈裟だし。」 そんなストレートな感情を出されると恥ずかしすぎる。 「リンはさ、普段あんまり表情に出ないのは自覚してたよね? さっき、めちゃくちゃ幸せそうに笑ってて。 凄く綺麗だなって思ってて。 しかもそれが俺の事でって、マジで夢みたいだし。」 そういって笑うミナトも、友人として一緒に居る時よりもずっと幸せそうに笑っている。 ・・・・・・確かに嬉しいかも。 ってゆうか俺、笑ってたんだ・・・。 「そ、そう。」 本当に、誰かと付き合った事なんてないから、こんな甘いムード、どうしていいか分からない。 「ねぇ、リン。 ・・・キス、したい。」 反射的にミナトを見ると、眼と眼が合って。 視線が交わる。 「・・・うん。」 そのまま、ミナトが近づいてきて、俺は眼を閉じた。 合わさる唇は柔らかくて、暖かくて。 優しい、優しいキスだった。 一度離れて、また合わさる。 角度を変えて何度も、何度も。 俺がココに居るって、ミナトがココに居るって感じながら。 どのくらいの時間そうしていたかはわからないけれど、携帯のアラームが鳴って、 「あはは、夢中になりすぎちゃったね。 リンは今日も仕事だし、一回帰るよね。 あ、その前に大家さんに電話か。」 ミナトはサッと起きてテキパキ準備を始めた。 「、、あ、そうだった。」
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